【ビジネス書 No.64】『良い戦略、悪い戦略』──目標と戦略を混同していませんか?

| 難易度★★★★☆ | 読了時間約6〜8時間 | 副業適合度★★★★★ |
この本が伝えたいこと
「戦略を立てている」と思っていたら、実は戦略ではなかった。
本書はその衝撃的な事実を、UCLAアンダーソン経営大学院教授のリチャード・ルメルトが容赦なく突きつける一冊だ。
著者が「悪い戦略」と呼ぶのは、ビジョンや目標を並べただけの「フワッとした言葉の集合体」。
巷にあふれるビジネス書やコンサルが量産してきた、聞こえはいいが実行不能な計画のことだ。
対して「良い戦略」には明確な構造がある。
それが本書の核心概念である「カーネル(核)」。
①診断(何が本質的な問題か)、②基本方針(どの方向で取り組むか)、③一貫した行動(具体的に何をするか)——この3要素がそろって初めて戦略と呼べる。
大企業の事例だけでなく、アップルの復活、湾岸戦争のシュワルツコフ将軍の作戦立案、ウォルマートの成長戦略など、多様な実例を通じて「良い戦略とは何か」を徹底的に解剖している。
副業や個人ビジネスにおいても、この視点は致命的に重要だ。
「月収100万円を目指す」という目標は戦略ではない。
誰の、どんな問題を、どう解決するか——その診断と集中こそが、個人レベルの戦略の出発点になる。
読むべき理由 3つ
「戦略っぽい言葉」に騙されなくなる
「顧客志向で市場をリードする」「差別化と効率化を両立する」——こういった言葉を聞いてうなずいたことはないか。
本書はこれを「お題目(fluff)」と一刀両断する。言葉が立派に見えるほど、実は何も言っていないことに気づかされる。
副業でいえば「価値を提供する」「ファンを増やす」もまた同様。耳障りのいい言葉に満足してしまうのが、個人ビジネスが伸びない最大の原因のひとつだ。
本書を読めば、自分の「なんちゃって戦略」をセルフチェックする眼が育つ。
「集中と選択」の本質を腑に落とせる
良い戦略の最大の特徴は「やらないことを決める勇気」だと著者は言う。
リソースが限られている状況で、分散して全方位に取り組むことは戦略ではなく「希望のリスト」に過ぎない。
副業では特にこれが顕著だ。本業をしながら限られた時間と資金で動く個人が、あれもこれも手を出せば必ず中途半端になる。
「自分の強みと市場の問題が交差するポイントに全力を集中する」——この発想を、本書は具体的な事例と論理で徹底的に裏付けてくれる。
「診断」という思考習慣が身につく
良い戦略の第一ステップは「問題の正確な診断」だ。
売上が上がらないのはなぜか。集客できないのはなぜか。リピートされないのはなぜか。
表面的な症状ではなく、本質的な構造上の問題を特定する——この習慣こそが、個人ビジネスを前進させるエンジンになる。
医者が症状を診て病名を特定するように、ビジネスの問題も「診断」なしに処方は下せない。
本書を読めば、問題に向き合う前に「これは本当に何が問題なのか」と立ち止まる思考回路が刷り込まれる。
副業にどう使うか
- ✦ 副業の「カーネル」を紙に書き出す。①自分のビジネスの本質的な課題は何か、②どの方向性で対処するか、③明日から具体的に何をするか——この3点を整理するだけで、行動の質が激変する。
- ✦ サービスや発信の「診断」を行う。「なぜ売れないのか」を感覚ではなく構造で考える習慣をつける。ターゲット設定のズレ・訴求メッセージの問題・価格設定の歪み——どこに本質的な問題があるかを特定することが先決だ。
- ✦ 「やること」より「やらないこと」を決める。副業初期は特にリソースが極端に限られる。SNS・ブログ・YouTube・メルマガ……全部やろうとするのではなく、自分の診断結果に基づいてひとつに集中する決断が、良い戦略の実践そのものになる。
こんな人に読んでほしい
✅ 向いてる人
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⚠️ 向いてない人
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9.0/10
「戦略を語れる人」と「戦略を持っている人」は、まったく別物だとこの本は教えてくれる。
副業や個人ビジネスにおいて、目標と戦略を混同したまま動き続けることがいかに無駄かを痛感させられる一冊。
やや読み応えがあるが、それだけの密度と実用性がある。経営者・フリーランス・副業人材すべてに「必読」と断言できる。
次回:『経営者の条件』
















