副業先生

【経営者の生きざま No.44】雷軍(Lei Jun)──「風口に立てば、豚でも飛べる」シャオミ創業者の思考法

LEADERS’ STORY ── 経営者の生きざま ── No.44

雷軍(Lei Jun)

──「インターネット思考」でスマホ業界を揺るがした男

 

「風口に立てば、豚でも飛べる」── 時代の波を読み、ゼロから中国最大のスマホ帝国を築いた男の思考法。

🌱
この人物を取り上げる理由

雷軍(レイ・ジュン)は、1969年中国湖北省生まれ。武漢大学在学中にプログラミングと起業に目覚め、1991年にソフトウェア大手「金山(キングソフト)」に入社。16年間で同社をCEOとして上場させたのち、2010年に40歳でスマートフォンメーカー「小米(シャオミ)」を創業した。

創業からわずか3年でシャオミは中国スマホ市場のトップに躍り出る。2023年時点でシャオミはグローバルスマホ出荷台数で世界3位を争い、2024年には電気自動車「SU7」を発売してEV市場にも参入。時価総額は数兆円規模に達した。

なぜ今、副業・個人ビジネスを考えるあなたに雷軍を取り上げるのか。それは、彼の成功が「資本力」でも「コネ」でもなく、「思考の設計」と「ユーザーとの関係構築」から生まれているからだ。個人でビジネスを立ち上げる者が学ぶべき本質が、彼の哲学に凝縮されている。

「站在风口上,猪也能飞起来。(風口に立てば、豚でも飛べる。)」
── 雷軍(レイ・ジュン)
📜
人生の軌跡
69
1969年
中国・湖北省仙桃市に生まれる。幼少期から理系の才能を発揮し、地域の秀才として知られた。
87
1987年
武漢大学計算機学部に入学。在学中に独学でプログラミングを習得し、2年で卒業要件をほぼ満たす。シリコンバレーの起業家列伝を読み漁り、起業への強い意志を持つ。
91
1991年
金山ソフトウェア(Kingsoft)に入社。エンジニアとして頭角を現し、6年後の1998年にはCEOに就任。WPSオフィスなどのプロダクト開発を主導し、2007年に同社を香港証券取引所に上場させる。
10
2010年
40歳で「小米科技(シャオミ)」を創業。「高品質・低価格」をコンセプトに、ネット直販とファンコミュニティを武器にスマホ市場へ参入。創業時の資金調達額は4,100万ドル。
14
2014年
シャオミが中国スマホ市場シェア1位を獲得。企業評価額は450億ドルに達し、「中国版アップル」と世界的に注目される。
24
2024年
電気自動車「シャオミSU7」を発表・販売開始。発売後24時間で約88,898台の予約を獲得する歴史的大ヒット。スマホ・IoT・EVを統合する「人・車・家」エコシステム戦略を本格始動。
💡
思考法①:「風口(フォンコウ)」を探せ──時代の追い風に乗る選択眼

雷軍の最も有名な言葉「風口に立てば、豚でも飛べる」は、単なる格言ではなく彼の経営哲学の核心だ。重要なのは「自分の能力を磨く」よりも先に「どのタイミングで・どの市場に参入するか」を見極めることだと彼は説く。

金山ソフトでの16年間は優秀な経営者として評価されたが、雷軍自身は「努力だけでは足りなかった。市場の選び方を間違えた」と振り返る。スマートフォン市場というまさに「風口」を見極め、40歳で全てを賭けた創業こそが転換点だった。

彼は市場参入前に必ず「この市場は今後5〜10年で爆発的に成長するか」を問い続けた。EVへの参入も、スマホのコモディティ化を見越した10年越しの布石だ。

LESSON 01
「努力の方向」より「市場の選択」が先。参入タイミングが副業の命運を分ける。
雷軍は「賢く働くこと(Smart work)より正しい場所で働くこと(Right place)が重要」と繰り返す。副業でも同じだ。どんなに完成度の高いサービスを作っても、需要が生まれていない市場では売れない。「今、何が伸びているか」「3年後に何が当たり前になるか」を先に調査してから動く。これが雷軍流の「選択と集中」の起点である。
▷ あなたの副業に活かすなら
  • ▶ 副業を始める前に「Googleトレンド」「SNSの急上昇ワード」で今の風口を調査する習慣を持つ
  • ▶ 「自分が好きなこと」と「市場が求めていること」の重なりを探してからジャンルを決定する
  • ▶ 参入タイミングを見極めるため、先行している海外市場・トレンドを3〜6ヶ月先取りして観察する
⚙️
思考法②:「粉絲経済(ファンエコノミー)」──ユーザーをファンに変える設計

シャオミの最大の差別化は、製品ではなくコミュニティだった。雷軍は創業当初からオンラインフォーラム「MIUI」で熱狂的なユーザーを集め、週次でOSをアップデートし、ユーザーの声を直接製品に反映させ続けた。

「我々はユーザーと一緒に製品を作る(与用户一起做产品)」という姿勢が、シャオミを単なるメーカーから「信者を持つブランド」へ変えた。初期ユーザー100名を徹底的にサポートし、彼らが口コミで1万人を呼んだ。この構造は現代の「コンテンツビジネス」そのものだ。

雷軍自身も微博(Weibo)やWeChatで積極的に情報発信し、創業者自らがインフルエンサーとして機能するモデルを確立。2024年のEV発表イベントでは自らステージに立ち、製品への情熱を語ることでメディアを席巻した。

LESSON 02
まず100人の熱狂者を作れ。1万人の薄いフォロワーより、100人の深いファンが副業を救う。
シャオミが証明したのは「広告費ゼロで市場を制圧できる」という事実だ。その原動力はファンコミュニティ。副業・個人ビジネスでも同じ原理が働く。SNSのフォロワー数を追うより、「この人の言葉なら信じる」「この人から買いたい」という深い関係を100人と築くことを優先する。創業者がコンテンツを発信し、ユーザーと対話し、製品・サービスに声を反映させ続ける。それが最強の集客エンジンになる。
▷ あなたの副業に活かすなら
  • ▶ ブログ・SNS・ニュースレターで「あなたの思考プロセス」を継続発信し、人格と信頼を可視化する
  • ▶ 初期顧客・読者からのフィードバックを積極的に募り、サービス改善に反映させて「一緒に作った感」を演出する
  • ▶ LINEオープンチャット・Discordなどでコミュニティを作り、ファンが集まる「場所」を副業の資産として育てる
🎯
思考法③:「極致(ジーチー)」──すべては「最高のコストパフォーマンス」に集中せよ

シャオミの製品哲学を一言で表すなら「极致性价比(ジーチー・シンジャービ)」。極限のコストパフォーマンスだ。雷軍はこれをただの「安売り」と混同させない。「同等の品質で最も安く」ではなく「この価格帯では最高の体験を提供する」ことを徹底する。

そのために彼がとったのは「SKUの徹底的な絞り込み」だ。シャオミの初代スマホは1機種のみ。余計なモデル・余計な機能・余計なコストを全て削ぎ落とし、一点に全リソースを集中した。「最高のものを一つ作れ。複数の平凡なものより、一つの傑作が市場を制する」という信念だ。

雷軍はこの哲学を「七字訣(しちじけつ)」として語る。「専注、极致、口碑、快。(集中、極致、口コミ、スピード)」── この4つがシャオミのDNAであり、個人ビジネスにも直接応用できる原則だ。

LESSON 03
副業も「一点突破」。何でもやるより、一つのサービスを極め、圧倒的な満足体験を作れ。
副業で陥りがちな罠は「メニューを増やすこと」だ。ブログ・SNS・動画・コンサル・物販……と手を広げるほど、一つ一つの質は下がり、ブランドは拡散する。雷軍が教えるのは逆の方向だ。「今すぐできる最高の価値提供を一つ決め、そこに全集中する」こと。顧客が「こんなに丁寧にやってくれるとは思わなかった」と驚くレベルまで品質を上げる。その口コミが次の顧客を連れてくる。スモールビジネスにとって、広告費より「驚かせる体験」が最強の集客だ。
▷ あなたの副業に活かすなら
  • ▶ 提供するサービスを最初は1〜2種類に絞り込み、「この分野ならあの人」と想起される専門家ポジションを確立する
  • ▶ 顧客の期待値より「一段上の納品物」を意識する。クオリティの驚きが自然な紹介・口コミを生み出す
  • ▶ 「専注・极致・口碑・快」を副業チェックリストに。集中しているか・極めているか・口コミされているか・スピードは速いか、を週次で確認する
「不要用战术上的勤奋,来掩盖战略上的懒惰。(戦術上の勤勉さで、戦略上の怠慢を隠すな。)」
── 雷軍(レイ・ジュン)
ESSENCE OF 雷軍(レイ・ジュン)

雷軍は「努力より戦略」「広告より口コミ」「多角化より極致」を貫いた男だ。40歳での創業・EVへの参入――彼の人生は何度でも「風口」を見つけ直し、ゼロから飛び込む勇気の連続だった。個人ビジネスに必要なのも同じ。市場を見極め、ファンを育て、一点に集中して極める。その三つが揃った時、小さな副業は本物のビジネスになる。

✍️
あなたへの問いかけ
  • ▶ あなたが今考えている副業ジャンルは「風口(成長市場)」の中にあるか?それとも縮小市場に向かっていないか?
  • ▶ あなたのサービスや発信を「口コミしたい」と思う熱狂的なファンが今、何人いるか?その人たちと深く関われているか?
  • ▶ 「戦略上の怠慢を戦術上の勤勉で隠して」いないか?忙しいのに成果が出ない原因は、方向性の設計ミスではないか?
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Fukugyo-Sensei

20歳で起業。英語を武器に通訳・翻訳で独立し、上海・香港・東京を渡り歩く。会員制バー10年経営、大企業コンサル複数社。48種の副業を構造から分析して気づいたこと──本質がわかれば、方法は選べる。副業を「運任せにしない人」へ届けるメディアです。

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