副業先生

【ビジネス事例シリーズ Lesson 101】「HARIBO」── 「硬いグミ」で世界を制した100年企業

BUSINESS CASE SERIES ─ LESSON 101

HARIBO──
「硬いグミ」で世界を制した
100年企業

1922年、ドイツのボンで生まれた熊の形。100年変えずに世界100カ国以上で愛され続ける「原点の力」。

🔗 HARIBO公式サイト(https://www.haribo.com/ja-jp/)
📌 前回のおさらい

Lesson 100|LEGO──「ターゲット拡大の力」を学びました。

大人のファン(AFOL)を開拓して高価格帯を創り、デジタルでフォートナイト8,300万人へリーチし、主要市場近くで生産する体制を構築した。「ブロック」という核を変えずに、届ける相手を広げ続けた戦略でした。

キーフレーズ:「市場は『定義を変えた者』が創る。」


💡

「子どもも大人も幸せにする」── 100年で変わらなかったもの

HARIBOは、1920年にドイツ・ボンで創業した。
創業者ハンス・リーゲル氏の名前と出身地を組み合わせた造語──HAns RIegel BOnn、それが「HARIBO」だ。

「HARIBO macht Kinder froh, und Erwachsene ebenso」

── ハリボーは子どもも大人も幸せにする。1920年から変わらないスローガン。

1922年、「ゴールドベア」が誕生した。これが世界初のグミキャンディーだ。
誕生の背景には「噛む力を強くする」という健康目的があった。
当時のドイツで歯の病気にかかる子どもが増えていたことへの、食品としての処方箋だった。

1920年
ハンス・リーゲル氏がボンで創業。「HARIBO」誕生
1922年
「ゴールドベア」発売──世界初のグミキャンディー誕生
2020年
日本で初のTVCM放映。週販69%増を達成
2021年
創業100周年。日本市場シェア3位(7.4%)
2022年
ゴールドベア誕生100周年。世界100カ国以上で販売
2023年
HARIBO Japan株式会社設立。日本市場へ本格参入
100年超 創業1920年から
変わらないゴールドベア
100カ国以上 世界展開数
世界最大のグミメーカー
約1,000億円 日本グミ市場規模(2024年)
10年前の約3倍に拡大

⚙️

問題:急成長する日本市場での「競争激化」という試練

HARIBOが日本で直面した課題は、急成長する市場への対応と競争激化という二重の壁だった。
市場は10年で3倍に拡大する一方、国内外のライバルが一斉に参入してきた。

  • ハードグミ競合の急増──HARIBOが切り開いた「硬いグミ」カテゴリーに国内メーカーが相次ぎ参入。パイオニアの優位が薄れてきた。
  • 「地球グミ」などSNS映え商品の台頭──インパクト重視の輸入グミがバズを起こし、若年層の注目を集めた。視覚的訴求で劣るHARIBOに課題が生まれた。
  • コンビニ・ドラッグストアでの棚取り競争──日常購買チャネルへの配荷が遅れ、「輸入食品店にあるもの」というイメージが根付いていた。
  • 価格・サイズの市場適合──ドイツ仕様のサイズと価格が、日本の購買習慣に合っていなかった。ローカライズへの対応が急務だった。

強みは「変えない」。しかし、届け方は「変える」。
HARIBOの挑戦は「核を守りながら市場に適応する」という、あらゆるブランドが直面する永遠の問いだ。


🧭

対策①:「ゴールドベア」── 100年変えないシグネチャー商品の力

HARIBOの1つ目の戦略は、「変えない」という積極的な意思決定だ。
流行を追わず、形も製法も味も100年守り続けることで、「本物」の地位を確立した。

「変える」という選択

トレンドに合わせて形を変える

柔らかくして日本市場に寄せる

SNS映えを優先したデザインへ

→ 結果:「どこにでもある商品」になる

選択
HARIBOの「変えない」戦略

1922年から変わらない熊の形を守る

「硬さ」こそが差別化の核と定義

自然由来の着色料・製法を継続

→ 結果:「本物はHARIBO」の地位を得る

ゴールドベアの6フレーバーも、100年間ほぼ変わっていない。

🍓
イチゴ
赤色。最もポピュラーなフレーバー
🍋
レモン
黄色。さっぱりした酸味が特徴
🍊
オレンジ
橙色。甘みと酸味のバランス
🍎
リンゴ
緑色。フレッシュな風味
🫐
ラズベリー
濃赤色。甘酸っぱい定番味
🍍
パイナップル
白色。南国らしい甘み

「グミといえばHARIBO」という認知は、100年かけて積み上げられた。
流行は5年で消えるが、本物は100年残る。

ゴールドベア100年の教訓
副業でも同じ。
トレンドを追いかけて「自分らしさ」を失っていませんか?
「これだけは変えない」という核を持つことが、長期的な信頼を生みます。流行が来ても去っても揺るがない「原点」を今日定義しましょう。

🎌

対策②:「日本市場への適応」── 核は守り、届け方を変える

HARIBOの2つ目の戦略は、商品の本質は変えずに「届け方」を日本に合わせることだ。
グローバルブランドとローカル市場の橋渡しを、細部の調整で実現した。

2020〜2021年の日本市場施策

サイズ調整:100g→80gにダウンサイズ。コンビニで買いやすい価格帯へ

日本初TVCM(2020年):グローバル戦略「キッズボイス」を相撲力士のパロディで日本風にアレンジ

SNS反響大週販69%増を達成。全年代で購入者が増加

配荷チャネル拡大:輸入食品店→コンビニ・スーパー・ドラッグストアへ

TVCMの「相撲パロディ」が示したのは、「グローバルの本質×ローカルのユーモア」という組み合わせだ。
「硬いグミ」という核は変えず、見せ方だけを日本人の笑いのツボに合わせた。

副業でも同じ。
「自分のやり方」を押し通すだけでは、顧客に届きません。
強みの本質は変えずに、「伝え方・届け方・包み方」を相手に合わせることが、既存市場での突破口になります。「何を変えて、何を変えないか」を明確にしましょう。

🏢

対策③:「日本法人設立」── 本気のコミットが市場を動かす

HARIBOの3つ目の戦略は、2023年1月のHARIBO Japan株式会社設立だ。
三菱食品を通じた間接販売から、直接経営への転換。「本格参入」という意思表示が市場へのメッセージになった。

日本法人設立が変えたこと

意思決定のスピードが向上──日本向け施策をドイツ本社と直接連携して動かせるように

日本独自商品の開発が可能に──「ゴールドベア4連グミ」「ハッピースプリング」などの限定商品

日本人の味覚に合わせた商品開発──「市場の差をドイツ本社に理解してもらうことが拡売のカギ」(日本責任者)

・競争が激しい日本市場に「本気で取り組む」姿勢が、小売・消費者に伝わる

「片手間で参入する」より「本気でコミットする」。
市場が信頼するのは、覚悟を持ったブランドだ。

HARIBO Japan設立が示した覚悟
副業でも同じ。
「お試しでやっている」感が出ていませんか?
「本気でやっている」という姿勢は、顧客に伝わります。プロフィールの整備・発信の質・商品の梱包・返信の速さ──どこかに「本気」が滲み出るポイントを作りましょう。

成功の方程式:100年企業が日本で証明した「原点の数字」

+69% TVCM後の週販増加率
「届け方」を変えた結果
972億円 日本グミ市場(2023年)
前年比24.1%増・急成長中
7.4% 日本市場ブランドシェア
(2021年・3位)

HARIBOの戦略を整理すると、こうなる。

ゴールドベアを変えない──100年の「核」を守ることで「本物」の地位を確立した
日本市場への適応──サイズ・価格・CM表現を日本向けに変え、週販69%増を達成した
日本法人設立──「本気のコミット」を組織で示し、日本独自商品開発へと進んだ


💡

教訓:HARIBOが教えてくれた「原点を守る力」

HARIBOの本質は、「変えること」と「変えないこと」を明確に区別したことにある。
1

「変えないもの」を意識的に決めると、ブランドになる

100年変わらない熊の形・硬さ・6フレーバーは、偶然ではなく意図的な「変えない」選択の結果だ。「これだけは変えない」を持つブランドは、時代が変わっても存在感を持ち続ける。

  • 副業の「絶対に変えない核」を今日1つ書く
  • 「流行で変えそうになったとき」に立ち返るものを定義する
  • 核を変えずに表現だけを更新する習慣を持つ
「変えない」は弱さではなく、最強のポジショニングだ。
2

「届け方」は市場に合わせて柔軟に変える

ゴールドベアの本質は変えず、サイズ・価格・CMの演出は日本向けに変えた。「何を変えて、何を変えないか」の線引きが、グローカル戦略の核心だ。

  • 「商品・サービスの本質」と「届け方・表現」を区別する
  • ターゲット市場の「買いやすさ」「伝わりやすさ」を徹底的に調べる
  • 「ローカライズ」を恐れずに、むしろ積極的に取り入れる
本質は一つ。届け方は相手の数だけある。
3

「本気のコミット」が市場からの信頼を生む

日本法人設立は「本格参入する」という意思の表明だ。商品の質だけでなく、「この市場に本気でいる」という姿勢が、小売・消費者・パートナーの信頼をつくる。

  • 副業の「本気度」が伝わる接点をひとつ強化する
  • 「お試し感」を消す──プロフィール・発信・商品パッケージを見直す
  • 「長くやり続ける」姿勢を具体的な行動で示す
覚悟は伝わる。半端な本気は、半端な信頼しか生まない。
4

「シンプルな強み」は最も模倣されにくい

「硬い熊の形のグミ」──これほどシンプルな強みが、100年後も世界最大のシェアを持つ。複雑な仕掛けより、シンプルで深い強みのほうが長持ちする。

  • 「自分の副業を一言で言える強み」を書いてみる
  • 複雑にしすぎず、シンプルに磨き続けることを選ぶ
  • 「説明しなくてもわかる強み」になるまで深める
シンプルで深い強みが、100年残るブランドを作る。

📋 今日からできるHARIBO式 副業改善

「変えない核」を一文で書く
HARIBOにとってのゴールドベアのように、自分の副業で「絶対に変えないもの」を一文で書き出す。これが迷ったときの羅針盤になる。
「届け方」を一つ見直す
商品・サービスの本質は変えずに、「伝え方・見せ方・買いやすさ」を今の顧客層に合わせて一つ改善する。HARIBOのサイズ調整・TVCM投入のような「届け方の刷新」を考える。
「本気度」が伝わる接点を一つ強化する
プロフィール・商品説明・パッケージ・返信速度──「お試し感」が残っている接点を一つ見つけて、プロとしての本気度が伝わるレベルに引き上げる。

🔗 まとめ:HARIBOが守ったのは「シンプルな原点」だ

1922年に生まれた熊の形は、100年後も世界100カ国以上で愛されている。
「変えない」という選択が、最強のポジショニングになった。

しかし、ゴールドベアを守りながら、サイズを変え・CMを作り・日本法人を設立した
「変える」と「変えない」の線引きが、100年企業の知恵だ。

「新しいもの」が常に正解ではない。
「変わらないもの」に価値がある。
あなたの副業の「ゴールドベア」は何ですか?
🔔 次回予告

Lesson 102:Timberland(ティンバーランド)

「イエローブーツ」でストリートカルチャーを席巻したワークブーツブランド。
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Fukugyo-Sensei

20歳で起業。英語を武器に通訳・翻訳で独立し、上海・香港・東京を渡り歩く。会員制バー10年経営、大企業コンサル複数社。48種の副業を構造から分析して気づいたこと──本質がわかれば、方法は選べる。副業を「運任せにしない人」へ届けるメディアです。

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