副業先生

【ビジネス事例シリーズ Lesson 100】「LEGO」── 「大人のファン」を獲得して玩具市場を制する

BUSINESS CASE SERIES ─ LESSON 100
🎉 記念すべき第100回

LEGO──
「大人のファン」を獲得して
玩具市場を制する

業界全体が縮小する中、売上前年比13%増・約1兆6,200億円。92年間「ブロック」を作り続けた企業の逆説。

🔗 LEGO公式サイト(https://www.lego.com/ja-jp)
📌 前回のおさらい

Lesson 99|ロクシタン──「入口商品の力」を学びました。

ギフトで出会い→使って実感→リピート→ロイヤルカスタマーへ。年17回の新シリーズ投入で期待感を維持し、ソル デ ジャネイロ買収で若年層・北米を開拓した。「まず入口でブランドを体験させる」ことの重要性でした。

キーフレーズ:「入口が広いほど、ファンになる人も増える。」


💡

「最良のものがあれば十分」── 92年間ブロックを作り続けた企業

LEGOは、1932年にデンマークで創業した。
木工職人オーレ・キアク・クリスチャンセン氏が設立し、当初は木製玩具を製造。
1949年にプラスチック製玩具へ移行し、1958年に現在の「レゴブロック」が誕生した。

「Only the best is good enough」
(最良のものがあれば十分)

── 創業以来変わらないLEGOの企業理念。92年間、この一言が品質を守り続けた。

創業家の資産運用会社「Kirkbi」が75%、LEGOファウンデーションが25%を保有する非上場企業
株主の目を気にせず「長期視点」で経営できる構造が、競合との差を生んでいる。

743億DKK 売上高(2024年)
約1兆6,200億円
+13% 売上成長率
業界全体が縮小する中で
840製品 2024年の新製品数
史上最多を更新

⚙️

問題:「玩具市場の縮小」と2度の経営危機

LEGOが乗り越えてきた困難は、外部環境と内部の両方に存在した。
「子ども向け玩具メーカー」という定義に留まり続ければ、市場縮小と共に沈む運命だった。

  • 玩具市場全体の縮小──2024年上半期の業界売上は前年比1%減。少子化・デジタルゲームの台頭・子どもの遊び方の変化が市場を縮ませている。
  • 1990年代後半:多角化の失敗──テーマパーク・衣料品・時計など本業以外へ過度に拡張し、ブランドが拡散。経営が悪化した。
  • 2003〜2004年:身売りの危機──業績が急悪化し、会社を売却する寸前まで追い詰められた。「レゴブロック」という本業への回帰を余儀なくされた。
  • 「子ども向け」の天井──少子化が続く中、「子どもだけがターゲット」では市場は縮む一方。新しい顧客層の開拓が急務だった。

経営危機の教訓は明確だった。
「本業を深め、広げる」──拡散ではなく拡張。
ブロックという核を守りながら、届ける相手を増やすことで市場を再創造した。


🧭

対策①:「大人のファン(AFOL)」── ターゲットを子どもから大人へ拡張

LEGOの1つ目の戦略は、AFOL(Adult Fans Of Lego)という新顧客層の開拓だ。
「子どもの玩具」というカテゴリーを飛び越え、大人が本気で楽しむ高価格帯市場を創造した。

従来のターゲット

🧒 子ども(3〜12歳)

価格帯:数千〜1万円台

購入者:親・祖父母

用途:遊ぶ・壊す・また作る

市場:少子化で縮小中

拡張
AFOLターゲット

🧑 大人(18歳以上)

価格帯:数万〜12万円超

購入者:自分自身

用途:作る・飾る・コレクション

市場:急成長中

「レゴ アイコン(Lego Icons)」シリーズは、大人の感性に刺さる高精度・高価格商品ラインだ。

🚀
ミレニアム・ファルコン
(スター・ウォーズ)
約12.3万円
7,541ピース。大人のコレクターズアイテム
🚢
タイタニック号
レプリカ
約9.85万円
9,090ピース。史上最大級のLEGOセット
🏛️
建築・ランドマーク
シリーズ
高価格帯
エッフェル塔・コロッセオなど。インテリアとして飾る
大人市場の規模が子どもを上回った

2024年最終四半期、18歳以上による玩具購入:15億ドル(約2,250億円)

これは同期間の3〜5歳向け購入額を上回った──「玩具は子どものもの」という常識が崩れた瞬間だ。

副業でも同じ。
「本来のターゲット」以外にも、あなたのサービスを欲しがる人がいませんか?
「プロ向け」「上位版」「コレクター向け」という高価格帯の設計が、単価を上げながら新客層を開拓します。入口の広さとは別に「天井の高さ」も設計しましょう。

🎮

対策②:「デジタルとの融合」── レゴフォートナイトで8,300万人

LEGOの2つ目の戦略は、「リアルのブロック」と「デジタルの世界」を融合させることだ。
「デジタルに侵食される」のではなく、デジタルを「リアルへの入口」として使う発想の転換だ。

レゴフォートナイト(2023年12月)

人気ゲーム「フォートナイト」とコラボし、プレイヤー数8,300万人を突破

ゲームでLEGOの世界を体験→実際のLEGOセットを購入というデジタル→リアルの導線を作った。

子ども向け初のソーシャルネットワーク「レゴプレイアプリ」もリリース。デジタル上でもLEGO体験を提供している。

ライセンスパートナーシップも、デジタル世代への入口として機能している。

⚔️
スター・ウォーズ
最大のIPライセンス。大人ファンを引きつける
🧙
ハリー・ポッター
ホグワーツ城など大人向け高精度セットが人気
⛏️
マインクラフト
デジタル世代の子どもをリアルブロックへ誘導
👟
ナイキ
スニーカーモデルのブロック化。大人コレクター向け
🏎️
F1
レーシングカーシリーズ。スポーツファンを開拓
🎮
フォートナイト
8,300万プレイヤーへの接点。デジタルから物理へ
副業でも同じ。
オフライン(対面・リアル)だけで完結していませんか?
デジタルはリアルの「入口」になれる。SNS・YouTube・無料コンテンツがリアルの仕事につながる設計を作りましょう。「アナログの強み」×「デジタルのリーチ」が最強の組み合わせです。

🌍

対策③:「グローバル生産体制」── 主要市場の近くで作る

LEGOの3つ目の戦略は、「主要市場に近い場所で生産する」という分散型サプライチェーンの構築だ。
特定国への依存を避け、地政学リスクと輸送コストを同時に下げる。

🇩🇰
デンマーク・ハンガリー
欧州拠点
本社機能と欧州向け生産の中核
🇲🇽
メキシコ
北米向け
米国・カナダへの輸送コスト・納期を大幅削減
🇻🇳
ベトナム(2025年〜)
アジア向け
アジア太平洋の需要拡大に対応する新拠点
サステナビリティへの長期投資

・使用済みブロック回収プログラム「レゴリプレイ」で循環型モデルを構築

2030年までに持続可能な原材料50%超を目標として設定

・「ブロックは100年後も同じ形で使える」──耐久性自体がサステナビリティになっている

副業でも同じ。
「作る・届ける・フォローする」の流れは効率的ですか?
顧客に近い場所で「届け方」を設計することが、満足度とリピートを高めます。また「長く使えるもの・長く役立つもの」を届けることが、信頼の基盤になります。

成功の方程式:縮む市場で+13%成長した数字の意味

約1.6兆円 売上高(2024年)
玩具メーカー世界一
8,300万人 レゴフォートナイト
プレイヤー数
15億ドル 大人(18歳以上)の
玩具購入額(2024年Q4)

LEGOの戦略を整理すると、こうなる。

大人のファン(AFOL)獲得──子ども向けから大人向けへターゲットを拡張。高価格帯で単価を上げた
デジタルとの融合──フォートナイトで8,300万人へリーチ。デジタルをリアルへの入口にした
グローバル生産体制──主要市場近くで生産し、コスト・リスク・納期を最適化した


💡

教訓:LEGOが教えてくれた「ターゲット拡大の本質」

LEGOの本質は、「ブロック」という核を変えずに、届ける相手と届け方を変え続けたことにある。
1

「本来のターゲット」の外側にも顧客がいる

「子どものおもちゃ」が大人市場で子どもの購買を上回った。ターゲットの「外側」を見ることで、縮む市場の中で成長できた。副業でも、今のターゲット外に潜在顧客がいる。

  • 今の顧客の「外側」──年齢・職業・使い方が違う層を書き出す
  • 「プロ向け・上級者向け・コレクター向け」という高単価版を考える
  • 今の商品が「別の目的」で使われている例がないか探す
市場は「定義を変えた者」が創る。
2

デジタルは「敵」ではなく「入口」にできる

デジタルゲームの台頭をリスクと見ず、フォートナイトとコラボしてリアルへの導線にした。「オンラインに侵食される」発想から「オンラインを使ってオフラインへ誘導する」発想への転換だ。

  • SNS・動画・無料コンテンツが「本業への入口」になっているか確認する
  • デジタルで「体験」を提供し、リアル(対面・購入)へ誘導する設計を作る
  • 自分が苦手なデジタル領域に強いパートナーと組む
デジタルを使いこなした者が、リアルでも勝つ。
3

「本業への回帰」が最強のターンアラウンドになる

2004年の経営危機は、多角化の失敗が原因だった。レゴブロックという本業に戻ることで復活した。「広げすぎたとき」に戻る核があるかどうかが、長期の強さを決める。

  • 「自分の副業の核」を一言で定義しておく
  • 広げる前に「これは核から外れていないか?」と問い直す
  • 迷ったときに「核に戻る」判断ができる基準を持つ
強い核があるから、どこへ広げても戻ってこられる。
4

「長期視点」で経営できる構造が、差を生む

非上場だから短期的な株主プレッシャーがなく、サステナビリティへの長期投資や840製品という史上最多の新製品開発ができる。副業も「今期の利益」より「3年後の自分」を見て動く。

  • 「今すぐ回収できなくても必要な投資」を1つ決める
  • 3年後のゴールから逆算して、今やるべきことを考える
  • 「短期の損」でも「長期の得」になることを続ける勇気を持つ
長く続けることが、最大の競合優位になる。

📋 今日からできるLEGO式 副業改善

「ターゲット外の顧客」を1グループ書く
今の主要ターゲット以外で、自分のサービスを必要とする可能性がある層を1グループ書き出す。年齢・職業・使い目的が違う人々の中に、次の市場が眠っている。
デジタル→リアルの「導線」を設計する
SNS・ブログ・YouTube・無料コンテンツが本業・本命商品への入口になっているかチェックする。なっていなければ、デジタルからリアルへの具体的な一歩を設計する。
「副業の核」を一言で書く
LEGO にとってのブロックのように、自分の副業の「絶対に変えない核」を一言で定義する。広げるときも、迷ったときも、この核に立ち返る基準を今日作る。

🔗 まとめ:LEGOが証明したのは「核を守りながら、届ける相手を増やす力」だ

業界が縮む中で+13%成長できたのは、「ブロック」という核を変えずに
ターゲット・チャネル・市場を拡張し続けたからだ。

大人のファンを開拓し、デジタルをリアルへの入口にし、世界中の主要市場の近くで作る。
そして2度の危機を「本業回帰」で乗り越えた強さが、92年間の信頼になっている。

「子ども向け」を「誰もが楽しめる」に変える。
あなたの副業の「大人のファン」は誰ですか?
🔔 次回予告

Lesson 101:HARIBO(ハリボー)

世界初のグミを作った100年企業。
なぜ、「硬いグミ」が100年間世界中で愛され続けるのか?

シンプルな強みを磨き続ける力」の秘密を探ります。

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副業先生

Fukugyo-Sensei

20歳で起業。英語を武器に通訳・翻訳で独立し、上海・香港・東京を渡り歩く。会員制バー10年経営、大企業コンサル複数社。48種の副業を構造から分析して気づいたこと──本質がわかれば、方法は選べる。副業を「運任せにしない人」へ届けるメディアです。

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