【ビジネス事例シリーズ Lesson 98】「コーセー」── 「雪肌精」「タルト」で日米を制する化粧品大手

コーセー──
「雪肌精」「タルト」で
日米を制する化粧品大手
中国不振を日米でカバー。売上3,228億円を支えるマルチブランド・マルチ地域戦略の全貌。
🔗 コーセー公式サイト(https://www.kose.co.jp/)Lesson 97|マンダム──「行動変容の力」を学びました。
ギャツビーで「お兄さん的提案」により化粧行動を段階的に定着させ、ルシードでミドル市場を開拓し、女性・海外へと事業を広げた。「商品を売る」のではなく「行動を変える」戦略でした。
キーフレーズ:「人は押し付けられると動かない。提案されると動く。」
「美しい知恵」── コーセー1946年の創業から
コーセーは、1946年の創業。
社名は「香」と「世」を組み合わせた造語──「香りで世の中を幸せにする」という思想が出発点だ。
現在は雪肌精・コスメデコルテ・アルビオン・タルトなど多数のブランドを擁する化粧品大手。
2026年には純粋持株会社体制への移行を予定しており、ブランドポートフォリオ経営をさらに加速させる。
前期比7.4%増
前期比8.6%増
累計投資計画
問題:「中国市場の不振」と一極集中のリスク
コーセーが直面した最大の課題は、中国市場への依存度の高さだった。
市場が変調をきたしたとき、一点集中の脆さが露わになった。
- アジア地域売上の急減──406億円(前期比23.0%減)。中国での雪肌精ダウントレンドが直撃した。
- 「アルコール入り」噂の拡散──中国SNSで「雪肌精にはアルコールが含まれている」という噂が広まり、購買が敬遠される事態に。
- トラベルリテールの減収──免税店経由の売上が落ち込み、インバウンド需要の縮小が影響した。
- 原価率の上昇──原材料費高騰・物流コスト上昇・円安による仕入れコスト増が重なった。
「一つの市場に依存したとき、
その市場が揺れると会社全体が揺れる。」
対策①:「日本市場の深耕」── 全チャネルで過去最高へ
コーセーの1つ目の戦略は、「足元の日本市場を徹底的に深掘りする」ことだ。
中国が苦しい中、国内はすべてのチャネルで成長を達成した。
・日本売上:2,114億円(前期比11.4%増)
・コスメデコルテ:国内過去最高売上を達成
・雪肌精:Number_i(人気グループ)を起用し2桁増収
・アルビオン:50周年。薬用スキンコンディショナーが好調
・百貨店・ドラッグストア・EC──全チャネルで成長
特筆すべきは雪肌精の国内戦略だ。
中国では「アルコール問題」で苦戦しながら、国内では若年層向けキャスティングで新客を獲得。
同じブランドを市場ごとに異なる戦略で動かした。
「遠くの市場」が揺れたとき、「足元の市場」の深さが会社を支える。
コスメデコルテが国内過去最高を出せたのは、長年の「深耕」があったからだ。
新しい集客ばかり追いかけていませんか?
「今いる顧客」をもっと深く満足させることが、最も確実な売上の柱になります。「遠くを見る」前に「足元を固める」。既存顧客への深耕が、最大の安全網です。
対策②:「タルト(北米)の躍進」── M&Aで中国依存を脱却
コーセーの2つ目の戦略は、2014年に買収した米国ブランド「タルト(Tarte)」の育成だ。
この先行投資が、中国不振の今、最大の救済役になっている。
前期比 +11.4%
全チャネル好調
前期比 +22.3%
タルト過去最高売上
前期比 −23.0%
中国市場が苦戦
タルトの強さは、SNSネイティブなブランド戦略にある。
中国が−23%の中、北米が+22%で補う。
2014年の買収決断が、2024年の危機を救った。M&Aは10年後への投資だ。
収入源が一つだけのとき、その一つが止まると全部止まります。
「別の収入源」を今のうちに育てておくことが、最大のリスクヘッジです。コラボ・別商品・別プラットフォーム──今の余力があるうちに「第2の柱」を作りましょう。
対策③:「2,000億円のグローバル投資」── 次の10年を買う
コーセーの3つ目の戦略は、苦しい今だからこそ未来へ投資するという大胆な決断だ。
2025〜2030年の5年間で、累計2,000億円の投資を計画している。
・M&A・資本提携:600億円──グローバルサウス(新興国)・欧米への参入
・生産体制強化:500億円──南アルプス工場への投資
・DX・R&D:500億円──デジタル化と研究開発
・2024年12月:タイのピューリ社を買収──グローバルサウス戦略の第一歩
中国市場への対応策も並行して実行中だ。
今の利益を「消費」だけで使っていませんか?
利益の一部を「未来への投資」に回す習慣が、数年後の成長を決めます。新しいスキル習得・コンテンツ制作・ツール導入──今の投資が次の柱になります。
成功の方程式:コーセーが示したリスク分散の数字
中国不振でも全体は増収
タルトが中国を補った
「次の10年」を今買う
コーセーの戦略を整理すると、こうなる。
① 日本市場の深耕──コスメデコルテ過去最高・雪肌精2桁増収。足元を固めた
② タルト(北米)の躍進──M&Aで獲得した柱が中国不振を補う構造を作った
③ 2,000億円のグローバル投資──苦しい今だからこそ、次の10年に先行投資する
教訓:コーセーが教えてくれた「リスク分散の本質」
「足元の市場」を深掘りすることが最大の安全網になる
中国が苦しいとき、日本が11.4%増で支えた。遠くを攻める前に、足元を深く耕していたからだ。副業でも、新規開拓より既存顧客の深耕が安定の源泉になる。
- 既存顧客のリピート率・満足度を数字で把握する
- 「もっと喜んでもらえること」を1つ追加する
- 既存顧客からの紹介・口コミを意識して設計する
「複数の収入源」が、一つの不振を吸収する
タルトという第2の柱があったから、中国の−23%を北米の+22%で補えた。副業でも「一本足打法」は危険だ。複数の収入源が互いにリスクをヘッジする。
- 今の収入源を「市場別・商品別・チャネル別」に書き出す
- 一つが止まっても生活できるか確認する
- 「第2の柱」を今の余力があるうちに育て始める
M&A(買収・提携)は「時間を買う」最速の戦略
タルトを1から育てれば10年かかる。2014年の買収で、北米市場への10年分のアドバンテージを手に入れた。副業でも「協業・外注・提携」は同じ発想だ。
- 「自分が苦手なこと」を得意とする人・サービスを探す
- コラボ・外注を「コスト」ではなく「時間を買う投資」として考える
- 提携相手が持つ「顧客・スキル・信頼」を活用する
「今の利益」を「未来への投資」に変える習慣を持つ
苦しい時期にも2,000億円の投資計画を実行するコーセーの姿勢は、「消費」ではなく「投資」の発想だ。副業でも、利益を未来に回し続けた者が5年後に差をつける。
- 毎月の収益の一定割合を「投資枠」として確保する
- スキルアップ・ツール・コンテンツ制作に先行投資する
- 「今は苦しいが未来に効く」投資を一つ決める
📋 今日からできるコーセー式 副業改善
🔗 まとめ:コーセーが築いたのは「倒れない構造」だ
中国が−23%でも全体が+7.4%増収できたのは、日本・北米という複数の柱があったから。
足元の日本を深耕し、タルトで北米を制し、2,000億円を未来に投じる。
一点に依存しない「マルチブランド・マルチ地域」の構造が、嵐を乗り越える力になった。
「分散」は安定して、強い。
Lesson 99:ロクシタン(L’OCCITANE)
南仏プロヴァンスから世界へ広がった自然派コスメブランド。
なぜ、「ハンドクリーム」1本で世界を制することができたのか?
「シグネチャー商品が生む世界観」の秘密を探ります。















