副業先生

【ビジネス事例シリーズ Lesson 97】「マンダム」── 「ギャツビー」で男性に化粧行動を定着させた老舗

BUSINESS CASE SERIES ─ LESSON 97

マンダム──
「ギャツビー」で男性に
化粧行動を定着させた老舗

「うーん、マンダム」から97年。売上762億円・海外40%超を支えた「行動変容」の戦略。

🔗 マンダム公式サイト(https://www.mandom.co.jp/)
📌 前回のおさらい

Lesson 96|アンファー──「市場創造の力」を学びました。

医療×プロダクトで高価格を正当化し、メンズシャンプー市場を創造し、「予防医学」の軸で約200種類の商品へと面展開。「既存市場で戦う」より「新しい市場を創る」ことの重要性でした。

キーフレーズ:「常識の外側に、未開拓の市場が眠っている。」


💡

「うーん、マンダム」── 97年の歴史

マンダムの歴史は、1927年まで遡る。
「金鶴香水」として創業し、「丹頂」への改名を経て、1988年に現在の「マンダム」へ。

「うーん、マンダム

── チャールズ・ブロンソン起用CMが社会現象に。社名そのものがブランドになった。

1978年発売の「ギャツビー」、そして「ルシード」──2つの柱で男性化粧品市場を牽引し続けて約50年。
現在は海外売上比率40%超、特にインドネシアを中核とするアジア展開が成長を支えている。

762億円 売上高(2025年3月期)
前期比4.0%増
40%超 海外売上比率
インドネシアが中核
18.3% ギャツビーの
男性化粧品市場シェア(2021年)

⚙️

問題:「男が化粧品を使うなんて」という時代の壁

マンダムが乗り越えてきた最大の壁は、価値観そのものだった。
商品の前に、人の「行動習慣」を変えなければならなかった。

  • 「男らしさ」の呪縛──「男は身だしなみを気にしすぎるべきではない」という価値観が根強く、化粧品に手を伸ばすことへの抵抗があった。
  • スキンケアはあり得ない時代──整髪料は使っても、肌を整えるという行動習慣が男性には存在しなかった。
  • 市場が小さい──男性化粧品の売り場も棚も限られており、「ない市場」に商品を置くことの難しさがあった。
  • 「説教」では動かない──「ケアしなさい」と言っても反発される。押し付けずに行動変容を起こす方法が必要だった。

売れない理由は「商品の質」ではなかった。
「行動する理由」が、まだ男性の中に存在していなかった。


🧭

対策①:「ギャツビーブランド」── 「お兄さん」的提案で行動を定着

マンダムの1つ目の戦略は、「ギャツビー」による行動習慣の創造だ。
1978年の発売から、段階的にカテゴリーを広げてきた。

NGなアプローチ

「ケアしなさい」と説教する

「かっこいい男は化粧する」と押し付ける

一気に全部やらせようとする

VS
ギャツビーの戦略

「こうすると良いよ」とさりげなく提案

かっこつけすぎず「お兄さん」的に寄り添う

スタイリング→ボディ→フェイスと段階的に

ギャツビーが定着させた「行動」は、段階を踏んで広げられた。

💇
STEP 1:スタイリング剤
「髪をセットする」という行動をまず定着させた
🧻
STEP 2:ボディペーパー
「汗を拭く」という行動を習慣化。2024年猛暑で25.5%増
🧴
STEP 3:フェイスケア
「肌を整える」へと領域を拡大。女性ユーザーも獲得
ギャツビーの市場シェア

男性化粧品市場シェア:18.3%(2021年)──トップクラスを長期維持。

2024年、記録的猛暑でボディペーパーが25.5%増。外部環境も味方につけた。

副業でも同じ。
顧客に「新しい行動」を起こしてもらうとき、一気に全部変えさせようとしていませんか?
まず1つの小さな行動から始めてもらう。そして徐々に広げる。「お兄さん」的な提案が、長期的な信頼と習慣を生みます。

🧔

対策②:「ルシードブランド」── ミドル男性市場を開拓

マンダムの2つ目の戦略は、「ルシード」によるライフステージ別の展開だ。

若者向け
GATSBY(ギャツビー)

ターゲット:10〜30代

コンセプト:トレンド・スタイリング

「かっこよくなりたい」欲求に応える

ミドル男性向け
LUCIDO(ルシード)

ターゲット:40代以上

コンセプト:大人の清潔感・ミドル脂臭ケア

「加齢サインに向き合う」ニーズに応える

ルシードが開拓したのは、「ミドル脂臭」という40代以降の男性特有の悩みへの対応だ。
誰も気づいていなかった(あるいは気づいていたが誰も言わなかった)悩みを、商品として可視化した。

イメージキャラクターにオダギリジョーを起用し、
「大人の男性がスキンケアをする」というイメージを、かっこいいものとして定着させた。

ルシードのブランド戦略
ルシードの実績

2024年:ブランド過去最高売上を達成

「ミドル脂臭」という新カテゴリーを自ら定義し、そのカテゴリーのリーダーになった。

副業でも同じ。
「今の顧客」が10年後・20年後に抱える悩みは何ですか?
顧客のライフステージに合わせて商品・サービスを進化させることが、長期的な関係をつくります。「一世代」から「複数世代」へ広げる発想を持ちましょう。

🌏

対策③:「女性事業・海外強化」── 事業の多角化と地理的拡大

マンダムの3つ目の戦略は、男性化粧品という軸を守りながら、女性と海外へ広げることだ。

💧
Bifesta(ビフェスタ)
拭き取りクレンジング。女性向け主力ブランド
LUCIDO-L(ルシードエル)
女性向けスタイリング・ヘアケア
🌺
SILKYGIRL
東南アジア展開の女性向けブランド。大幅伸長中
女性事業・海外の成長数字

・女性事業:前期比14.8%増(2024年3月期)

・海外売上比率:40%超(インドネシアが中核市場)

・事業構成:男性60% / 女性30% / その他10%

男性専業から脱し、「ケアを習慣にする」思想を性別・国境を超えて展開している。

副業でも同じ。
「今の顧客層だけ」を見ていませんか?
同じ強みを使って「反対側のターゲット」「別の地域・文脈」に届けられないか考えてみましょう。得意分野の隣に、次の成長機会が眠っています。

成功の方程式:マンダムが証明した「行動変容」の数字

762億円 売上高(2025年3月期)
1927年創業・97年の蓄積
25.5%増 2024年ボディペーパー
猛暑で行動習慣が加速
14.8%増 女性事業成長率
(2024年3月期)

マンダムの戦略を整理すると、こうなる。

ギャツビーブランド──「お兄さん」的提案で、段階的に男性の化粧行動を定着させた
ルシードブランド──ミドル男性のライフステージ特有の悩みを新カテゴリーとして開拓
女性事業・海外強化──「ケアの習慣」という思想を性別・国境を超えて広げた


💡

教訓:マンダムが教えてくれた「行動変容の起こし方」

マンダムの本質は、「商品を売る前に、行動を変えた」ことにある。
1

「説教」ではなく「提案」が行動を変える

ギャツビーが「お兄さん」的なポジションを取ったのは、押し付けると反発されることを知っていたから。「こうしなさい」ではなく「こうすると良いよ」が、行動習慣を生む。

  • SNS発信・コンテンツが「説教」になっていないか見直す
  • 「提案・共感・共有」のトーンで語る
  • 顧客が「自分で気づいた」と感じる伝え方をする
人は押し付けられると動かない。提案されると動く。
2

「小さな行動」から始めて、段階的に広げる

ギャツビーはスタイリング剤から入り、ボディペーパー、フェイスケアへと段階的に広げた。一気に全部変えさせようとせず、まず1つの習慣を作る。

  • 顧客に最初に取ってほしい「1つの行動」を決める
  • その行動が習慣になったら、次の提案をする
  • 「入り口を狭く、奥を深く」設計する
最初の1歩が小さいほど、踏み出しやすい。
3

顧客のライフステージと一緒に「進化」する

ルシードはギャツビーのユーザーが40代になったとき、新たな悩みに寄り添った。顧客が歳を取っても「マンダムを使い続ける」理由を作った。

  • 今の顧客が10年後に抱える悩みを書き出す
  • 「その年齢のあなたにも届けられるもの」を考える
  • 顧客と一緒に成長するロードマップを描く
顧客のライフステージに伴走できる副業は、長続きする。
4

「対岸のターゲット」に同じ強みを届ける

男性化粧品で培ったノウハウを、女性向け・海外へ転用した。「強み」は同じでも、届ける相手を変えれば新しい市場になる。

  • 「今の顧客の反対側」にも同じニーズがないか確認する
  • 強みを使えるが、まだリーチしていない層を探す
  • 「隣の市場」への参入コストを下げる工夫をする
強みは一つ。届ける相手を変えれば、市場は増える。

📋 今日からできるマンダム式 副業改善

発信のトーンを「提案」に変える
過去1週間のSNS投稿・メッセージを読み返す。「説教・押し付け」になっていないか確認し、「お兄さん的な提案」のトーンに書き直してみる。
「最初の1アクション」を設計する
顧客に最初に取ってほしい行動を1つ決める。無料コンテンツDL・LINE登録・小さな体験購入など、ハードルを極限まで下げた入り口を作る。
「対岸のターゲット」を1つ書く
今の顧客とは「性別・年代・業種・地域」が異なるが、同じ悩みを持つ可能性がある層を1つ書き出す。同じ強みで届けられる相手がいれば、次の市場が開ける。

🔗 まとめ:マンダムが変えたのは「商品」ではなく「行動」だ

「男が化粧品を使うなんて」という時代に、説教せず・押し付けず・段階的に行動習慣を創った。

ギャツビーで若者の化粧行動を定着させ、ルシードでミドル男性の悩みを可視化し、
女性・海外へと「ケアの習慣」を広げた。

「商品を売る」のではなく「行動を変える」。
あなたの副業は、顧客の行動を変えていますか?
🔔 次回予告

Lesson 98:コーセー(雪肌精・コスメデコルテ)

「雪肌精」「コスメデコルテ」「タルト」で国内外を制する化粧品大手。
中国市場の不振をどう乗り越えるのか?

マルチブランド戦略」が持つリスク分散と成長の秘密を探ります。

関連記事

  1. 【ビジネス事例シリーズ Lesson 76】「セイコーグループ」…

  2. 【ビジネス事例シリーズ Lesson 29】「JAL(日本航空)…

  3. 【ビジネス事例シリーズ Lesson 20】Airbnb──「共…

  4. 【ビジネス事例シリーズ Lesson 96】「アンファー」── …

  5. 【ビジネス事例シリーズ Lesson 53】「スシロー」── 味…

  6. ビジネス事例シリーズL【Lesson 2】TOYOTA──「品質…

副業先生

Fukugyo-Sensei

20歳で起業。英語を武器に通訳・翻訳で独立し、上海・香港・東京を渡り歩く。会員制バー10年経営、大企業コンサル複数社。48種の副業を構造から分析して気づいたこと──本質がわかれば、方法は選べる。副業を「運任せにしない人」へ届けるメディアです。

ページ上部へ戻る