【ビジネス事例シリーズ Lesson 94】「BEAMS」── スタッフを「メディア」に変えたセレクトショップ

BEAMS──
スタッフを「メディア」に変えた
セレクトショップの戦略
アパレル不況の時代に売上914億円。「人を売る力」で生き残った非上場企業の秘密。
🔗 BEAMS公式サイト(https://www.beams.co.jp/)Lesson 93|サンマルクカフェ──「看板商品の力」を学びました。
「チョコクロ」で来店動機を作り、不採算店舗の整理で収益改善。「これを買うならこの店」という選ばれ方こそが、ブランドの本質でした。
キーフレーズ:「シグネチャー商品が、来店動機を生む。」
「原宿6.5坪から始まった伝説」── BEAMSの歴史
1976年。原宿の6.5坪の小さな店から、BEAMSは始まった。
創業者・設楽悦三氏はもともと段ボール工場を経営していた。
「AMERICAN LIFE SHOP BEAMS」という名前でアメリカンカジュアルを紹介し、雑誌『ポパイ』との連携が成長の原動力となった。
セレクトショップ御三家──BEAMS・UNITED ARROWS・SHIPSの一角として、業界を牽引し続けてきた。
そして現在、非上場企業として独自の経営を続けながら、以下の実績を積み上げている。
「さがす、とがる、ひろがる。──この3つが、BEAMSの本質です。」
問題:「アパレル不況」と「EC化の波」
セレクトショップ業界は、大きな変革期を迎えていた。
「仕入れて並べる」だけでは、もはや勝てない時代が来ていた。
- ファストファッションの台頭──ユニクロ・ZARAが低価格で圧倒。「価格競争」では勝ち目がない。
- EC専業の急成長──実店舗に来る理由が薄れていく。「場所の優位性」が消えつつあった。
- コロナ禍での来店客数減少──駅前・商業施設の人流が激減。売上直撃。
- スタッフの価値が見えにくい──「誰が売ってもいい商品」では、スタッフの専門性が埋もれる。
- ECと店舗の連携不足──オンラインとオフラインが別物として機能していた。
「モノ」を売るだけでは、生き残れない時代が来た。
問われたのは、「なぜBEAMSで買うのか」という理由そのものだった。
対策①:「スタッフのメディア化」── 全員がインフルエンサー
BEAMSの最大の武器は、「スタッフのメディア化・スター化」だ。
全国の店舗スタッフが、実名・顔写真付きでコンテンツを投稿している。
EC売上の約6割が
スタッフ投稿を経由している
「この人のコーデが好き」「この人の審美眼を信じる」──指名買いが生まれる。
2019年には全スタッフにiPhoneを支給。社内では投稿上位100名を表彰する制度まで整備した。
「商品スペック」を並べる
「誰でも買えます」という訴求
スタッフは「販売員」
「スタッフの世界観」を届ける
「あなたから買いたい」という指名
スタッフは「メディア」
「顔」を見せていますか?「名前」を出していますか?
商品だけ並べても選ばれない。「あなた」から買いたいと思われることが、最強の差別化です。
SNS・ブログ・note──どこかで「自分のメディア」を持ちましょう。
対策②:「オムニチャネル戦略」── 店舗とECの融合
BEAMSの2つ目の戦略は、「オムニチャネル」の徹底だ。
2016年、ECサイトとコーポレートサイトを統合。「オンラインとオフラインは別物」という発想を捨てた。
店舗とEC、両方を利用する顧客の年間購入金額は、単一チャネル利用者より大きい。
だから、どこで会っても「同じBEAMSの体験」を提供することが、最も購買を増やす。
具体的には──在庫の自由化、顧客データの一元化、ポイント統合。
「どこで買っても、同じ体験」を実現した。
「モノ」→「コト」→「ヒト」。
モノを売る時代を経て、コトを売る時代を経て、今は「人」を売る時代へ。
SNSと販売ページ、オンラインとオフライン──あなたの「接触点」はバラバラになっていませんか?
どこで会っても同じ「あなた」を見せること。一貫性こそが、信頼を積み上げます。
対策③:「多様なブランド展開」── 40以上のレーベル
BEAMSは「BEAMS」だけではない。40以上のレーベルで多様なニーズに応えている。
さらに、異業種コラボも積極的に展開している。
書籍『BEAMS AT HOME』は累計29万部。サブカル企画開発部の設立、地方自治体との協業──「セレクト」の概念をアパレルの外へ広げた。
・企業ユニフォームのプロデュース
・空間プロデュース・コンサルティング
「BEAMSの審美眼」を法人向けに売る新たな柱。
今の事業の「隣」に何がありますか?
異業種コラボ、BtoB、デジタル商品化──「一点」を「面」へ広げていく発想が、副業を事業に育てます。
成功の方程式:BEAMSが証明した3つの数字
非上場企業として
スタッフ投稿経由の割合
「人を大切にする」証拠
BEAMSの戦略を整理すると、こうなる。
① スタッフのメディア化──人を売る力でEC売上の6割を獲得
② オムニチャネル戦略──店舗とECの融合で顧客体験を統一
③ 多様なブランド展開──40以上のレーベルで多様なニーズに対応
教訓:BEAMSが教えてくれた「人を売る力」
顔と名前を出す勇気が、信頼を生む
匿名では「選ばれない」。実名・顔写真で発信することで、「この人から買いたい」という指名買いが生まれる。
- SNS・ブログ・YouTubeで自分の名前を出す
- プロフィールに顔写真を使う
- 「何者か」が伝わるコンテンツを積み上げる
一貫性が、どこでも「あなた」を認識させる
SNS・販売ページ・リアル──すべてで同じ「世界観」を提供する。バラバラでは信頼が積み上がらない。
- 発信の「トーン」を統一する
- プロフィール・アイコンを全媒体で揃える
- 「どこで会っても同じ体験」を設計する
「一点」から「面」へ──隣接領域に広げる
BEAMSはアパレルからBtoB、書籍、地方創生へ広げた。副業も「今の強み」の周辺に展開できる。
- 「メイン事業」の隣にあるものを書き出す
- 異業種コラボの可能性を探る
- BtoB(法人向け)の窓口を作る
スタッフ(人)を大切にすることが、離職率3%を生む
BEAMSはiPhoneを全スタッフに支給し、表彰制度を作り、スタッフが輝ける環境を整えた。「人」への投資が、圧倒的な強みに変わった。
- 自分自身への投資(学習・機材・環境)を惜しまない
- コラボ相手・外注先を「仲間」として扱う
- 関わる人が喜ぶ仕組みを作る
📋 今日からできるBEAMS式 副業改善
🔗 まとめ:BEAMSが築いたのは「人を売る仕組み」だ
アパレル不況の中、914億円の売上を維持できたのは、「商品」ではなく「人」で選ばれる構造を作ったから。
スタッフを「メディア」にし、EC売上の6割をスタッフ経由で生み出す。
チャネルを統合し、どこでも同じ「体験」を届ける。
40以上のレーベルで、「セレクト」の概念を外へ広げる。
「人」で選ばれる時代が来ている。
Lesson 95:SHIPS(シップス)
セレクトショップ御三家の一角。BEAMSより後発ながら、独自のポジションを築いた戦略とは?
「STYLISH STANDARD」というキーワードが示す、差別化の本質を探ります。
















