【ビジネス事例シリーズ Lesson 95】「SHIPS」── 「STYLISH STANDARD」で差別化するセレクトショップ

SHIPS──
「STYLISH STANDARD」で
王道を貫くセレクトショップ
アメ横生まれ、銀座育ち。「とがらない」ことを強みに変えた御三家の戦略。
🔗 SHIPS公式サイト(https://www.shipsltd.co.jp/)Lesson 94|BEAMS──「人を売る力」を学びました。
スタッフをメディア化してEC売上の6割を獲得し、オムニチャネル戦略で顧客体験を統一。「商品」ではなく「人」で選ばれる仕組みを構築しました。
キーフレーズ:「顔と名前を出した者が、指名買いを獲得する。」
「アメ横から銀座へ」── SHIPSの歴史
SHIPSのルーツは、1952年の上野アメ横にある。
「三浦商店」として始まった小さな商店が、1977年に銀座へ進出し「SHIPS」1号店を開いた。
アメ横の商魂と、銀座の洗練。その融合こそが、SHIPSのDNAだ。
「STYLISH STANDARD」──
上品で洗練されていながら、流行に左右されない定番を提案する。
これがSHIPSのポジショニングだ。
セレクトショップ御三家(BEAMS・UNITED ARROWS・SHIPS)の一角として、「とがらない王道」という独自路線を歩んできた。
全て直営
70年以上の歴史
問題:「御三家の中での課題」
SHIPSは、御三家の中でいくつかの課題を抱えていた。
BEAMSやUNITED ARROWSと同じ土俵に立ちながら、独自性の見せ方に迷いがあった時期もあった。
- 「地味」という印象──BEAMSの個性的さ、UNITED ARROWSの高級感と比べ、ポジションが曖昧に映ることがあった。
- 若年層へのプロモーションが弱い──長年のファン層は手厚く守れていたが、20〜30代の新規獲得が課題だった。
- EC化への対応が遅れ気味──「店舗中心」の発想から抜け出し、オンラインを強化する必要があった。
- 都心偏重の出店戦略──郊外ファミリー層という未開拓の顧客層が存在していた。
「とがっていない」ことが弱みに見えた時代があった。
しかしSHIPSはそれを、「品の良い定番」という強みに変えた。
対策①:「EC強化」── 自社EC比率40%を目指す
SHIPSの1つ目の戦略は、「EC強化」だ。
2017年にECシステムを刷新。2018年には自社ECサイト・コーポレートサイト・メールマガジンを統合し、顧客体験を一元化した。
・2017年:ecbeingシステムに刷新
・EC売上成長率:前期比30〜40%成長(継続)
・2022年:EC売上100億円規模に迫る
・中期目標:自社EC比率 20% → 40% へ引き上げ
来店してもらうことが前提
ECは「補助的なチャネル」
顧客データがバラバラ
オンラインで出会い、店舗で確認する
ECを「主要チャネルの一つ」に
顧客データを一元管理
あなたの売上の「オンライン比率」は何%ですか?
対面・オフライン中心の副業ほど、オンラインへの入り口を作るだけで売上の天井が変わります。まず1つのオンライン接点から始めましょう。
対策②:「SHIPS ANY」── 新業態で郊外を攻める
SHIPSの2つ目の戦略は、「SHIPS ANY」という新業態だ。
2020年にスタートした郊外ファミリー向けブランド。主力SHIPSが「都心・大人・高価格」なのに対し、SHIPS ANYは「郊外・ファミリー・手頃な価格」で別の顧客層を取りにいった。
中〜高価格帯
主力の7割程度の価格
ストレッチ素材で差別化
2025年2月期の売上目標:35億円超
ターゲット:10〜50代(中心は40代)、メンズ/ウィメンズ/キッズ複合展開
「機能性×デザイン」で郊外ファミリー層を着実に獲得している。
今のメイン顧客以外に、価格帯やターゲットを変えたサブブランドを作れませんか?
「一本槍」から「二刀流」へ。同じ強みで、異なる顧客層を取りにいく発想が副業を安定させます。
対策③:「若年層向け新レーベル」── 29歳のバイヤーに任せる
SHIPSの3つ目の戦略は、「若い力に任せる」という大胆な決断だ。
「若者のことは若者に聞け」
── 29歳バイヤーに新レーベルを任せたSHIPSの思想2024年秋、SHIPS は新レーベル「CITY AMBIENT PRODUCTS」を立ち上げた。
ディレクターに抜擢したのは、当時29歳のバイヤー・瀬谷俊法氏。
・ターゲット:20〜30代メンズ
・コンセプト:都市の空気感
・2024年秋冬目標:4億円 → 1年後:10億円
同世代の感覚、同世代のニーズ、同世代の言葉──「当事者」にしかできない編集がある。
全部自分でやろうとしていませんか?
「その分野に強い人」に任せることが、新しい顧客層への突破口になります。コラボ・外注・パートナー──「任せる勇気」が副業を次のステージへ連れて行く。
成功の方程式:SHIPSが証明した「王道」の数字
前期比増収を継続
現在20%から倍増へ
(2025年2月期)
SHIPSの戦略を整理すると、こうなる。
① EC強化──自社EC比率40%を目指し、オンラインに軸足を移す
② SHIPS ANY──郊外ファミリー層という未開拓市場を新業態で攻める
③ 若年層向け新レーベル──29歳バイヤーに任せ、同世代の言葉で届ける
教訓:SHIPSが教えてくれた「王道で勝つ方法」
「軸」を決めたら、ブレない
SHIPSは「STYLISH STANDARD」というコンセプトを70年以上守り続けた。「派手ではないが、品がある」──それがブランドへの信頼を積み上げた。
- 副業の「軸」(強み・コンセプト)を一言で言えるか確認する
- 流行に流されず、自分の「定番」を磨き続ける
- 「何者か」を一貫して発信し続ける
「オンライン比率」を意識的に高める
SHIPSはEC比率を20%から40%へ引き上げる明確な目標を持った。副業でも「オフライン依存」を脱することが、売上の天井を外す。
- 今の売上のオンライン比率を数字で把握する
- オンライン接点(SNS・EC・LP)を1つ作る
- 顧客接点を一元化して管理する
「価格帯×ターゲット」を変えてサブブランドを作る
SHIPS ANYは、主力の7割の価格で郊外ファミリーを取りに行った。同じ強みを使いながら、届ける相手と価格帯を変えるだけで新市場が開ける。
- 「今の副業の低価格版」「今の副業の高価格版」を考える
- 今リーチできていない顧客層を書き出す
- 既存の強みを使って別の入り口を作る
「当事者」に任せることが、最速の突破口になる
SHIPSは若年層開拓を29歳バイヤーに任せた。「その世代のことはその世代に聞く」──当事者感覚は、分析では代替できない。
- ターゲット層に近い人の意見を積極的に取り入れる
- コラボ・外注・パートナーで「得意な人」に任せる
- 「全部自分でやる」の呪縛を外す
📋 今日からできるSHIPS式 副業改善
🔗 まとめ:SHIPSが築いたのは「王道という差別化」だ
「とがっていない」ことを弱みにせず、「品の良い定番」という強みに変えたセレクトショップ。
EC比率40%への道、郊外ファミリーへのSHIPS ANY、29歳バイヤーへの大胆な委任──
「軸を守りながら、変えるべき場所だけを変える」戦略が、243億円を支えている。
それは最強のポジショニングになる。
Lesson 96:アンファー(スカルプD)
「スカルプD」で男性用シャンプー市場を創造した予防医学企業。
なぜ「予防医学」というコンセプトが、新しい市場を生んだのか?
「市場を創る」という発想の本質を探ります。














