副業先生

【ビジネス事例シリーズ Lesson 57】「松屋」── 牛めしと定食の二刀流で戦う挑戦者

BUSINESS CASE SERIES ─ LESSON 57

松屋──
牛丼チェーンなのに「定食屋」。
ポジションをずらして勝つ異端の戦略

味噌汁無料、カレーがバズる、多業態展開。「牛丼屋」と呼ばれない牛丼屋の勝ち方

🔗 松屋公式サイト(https://www.matsuyafoods.co.jp/)
📌 前回のおさらい

前回のLesson 56では、吉野家から「ブランドの核を守りながら、時代に合わせて器を変え続ける本質」を学びました。

BSE危機でも味を守り抜き、「黒い吉野家」で店舗体験を再定義し、顧客の声から「超特盛」のヒットを生んだ。

「不変の核」と「可変の器」を分けて考えることが、125年の老舗を支えていることを知りました。


🍛

練馬の中華飯店から始まった「牛めし」の歴史

1966年、東京都練馬区。
創業者・瓦葺利夫が中華飯店「松屋」を開業した。
2年後の1968年、牛めし業態に転換。ここから松屋の歴史が始まる。

吉野家が「牛丼一筋」を掲げるのに対し、松屋は最初から「定食」を軸に据えた
牛めしだけでなく、カレー、焼肉定食、豚汁定食、ハンバーグ──
「牛丼屋」ではなく「和風ファーストフード」
この微妙な、しかし決定的なポジションの違いが、松屋の個性を作った。

現在の店舗数は国内外1,405店舗
松屋(牛めし業態)に加え、松のや(とんかつ)、マイカリー食堂、すし松など多業態を展開。
2025年3月期の連結売上は1,542億円(前年比20.8%増)と過去最高を更新した。

吉野家は「牛丼の王様」。すき家は「牛丼のファミレス」。
では、松屋は何か?
──松屋は「牛めしもある定食屋」。
このポジションが、松屋だけの強さを生んでいる。


⚙️

問題:吉野家・すき家の間で、どう戦うか?

牛丼業界は吉野家(歴史・ブランド力)とすき家(店舗数・価格)の二強。
松屋は常に「3番手」のポジションだった。

  • 吉野家の「牛丼一筋」のブランド力には、歴史で勝てない
  • すき家のゼンショーグループの資金力と店舗数には、規模で勝てない
  • 「牛丼」だけで正面から戦えば、常に3番手から抜け出せない
  • 価格競争に巻き込まれると、利益がどんどん削られる

同じ土俵で戦えば、1位にはなれない。
ならば──「土俵そのものをずらす」しかない。
松屋は「牛丼チェーン」ではなく「定食屋」として戦うことを選んだ。


🥢

対策①:「定食ポジション」── 牛丼屋と呼ばれない牛丼屋

松屋の最大の差別化は、「牛丼屋」ではなく「定食屋」として認知されていること。

🔴 吉野家・すき家

メイン商品:牛丼

味噌汁は別料金(60〜80円)

来店動機:「牛丼が食べたい」

客層:牛丼ファンが中心

VS
🟢 松屋

メイン商品:牛めし+定食+カレー

味噌汁が全品無料で付く

来店動機:「何か食べたい」

客層:牛丼ファン+定食ファン+カレーファン

味噌汁無料──これは松屋の象徴的なサービス。
たかが味噌汁、されど味噌汁。
牛めしに味噌汁が無料で付くだけで、「丼もの」が「定食」に変わる
「定食」は「丼もの」よりも「ちゃんとした食事」という印象を与え、来店のハードルが下がる

「牛丼チェーン」ではなく「定食屋」。
このポジションのずらし方が、
松屋を「牛丼を食べたい人」だけでなく
「何か食べたい人」全員の選択肢にした。

副業でも同じ。

競合と「同じカテゴリ」で戦っていないか? Webデザイナー → 「売上を上げるデザイナー」。ライター → 「SEOコンサルタント兼ライター」。肩書きをずらすだけで、競合が全員いなくなることがある。「ポジションの再定義」を試してみよう。


🍛

対策②:「松屋のカレー」── SNSでバズる看板メニュー

松屋のもう一つの武器が「カレー」
牛丼チェーンなのに、カレーが看板メニュー級の人気を誇る。

「松屋のカレーはガチ」──この言葉がSNSで何度もバズった。
創業カレー、マイカリー食堂の本格カレー、期間限定のスパイスカレー──
松屋のカレーは「牛丼チェーンのカレー」とは思えないクオリティで、ファンを生み続けている。

「松屋のカレー」がバズる理由

① 「牛丼チェーンなのに」という意外性が話題を生む

② 本格的なスパイス使いで「ガチ」の評価を獲得。専門店レベルの味

③ 期間限定メニューが多く「今食べないと」の緊急性を演出

カレーという「第2の柱」を持つことで、牛めしの売上に頼らない収益構造を作っている。マイカリー食堂という別業態まで生まれたのは、カレーの人気が本物だった証拠。

副業でも同じ。

メインサービスの「隣」に、意外性のある強みを持とう。「Webデザイナーなのに、コピーライティングもうまい」「税理士なのに、SNS集客の相談にも乗れる」──「○○なのに」が口コミの起点になる。意外性は最強のマーケティング。


🏪

対策③:「多業態戦略」── 1つのブランドに依存しない

松屋フーズの成長を支えるもう一つの柱が、多業態展開
松屋(牛めし)だけでなく、異なる業態を複数展開している。

🥩
松屋

牛めし・カレー・定食。全品味噌汁無料の「和風ファーストフード」の本丸

🍖
松のや

とんかつ業態。揚げたてとんかつを手頃な価格で。松屋との併設店舗も

🍛
マイカリー食堂

本格カレー専門店。松屋のカレー人気から独立した新業態。松のやとの併設も

さらに「すし松」という寿司業態も展開し、19店舗(前年11店舗から72.7%増)と急成長中。
1つの業態に依存せず、複数の「食の選択肢」をグループ内に持つことで、市場環境の変化に強い体質を作っている。

特筆すべきは「併設店舗」の活用。
松屋と松のや、松のやとマイカリー食堂を1つの店舗で運営し、固定費を抑えながらメニューの幅を広げる効率的なモデルを確立している。

副業でも同じ。

メインサービスの「派生業態」を考えてみよう。Webデザイン → バナー制作特化、LP制作特化、コーディング研修。1つのスキルから複数のサービスラインを作ることで、収益が安定する。「1つのスキル、複数の売り方」──これが松屋式の多業態戦略。


解決:「定食屋」ポジションで、過去最高売上を更新

1,542億円
連結売上高(前年比20.8%増)
1,405店
グループ総店舗数
既存店+17.3%
牛めし事業 既存店売上伸長

「定食屋」というポジションで牛丼二強との差別化に成功し、「カレー」という第2の武器でSNSバズを生み、「多業態戦略」で収益構造を安定させた。

2025年3月期の連結売上は1,542億円で過去最高を更新。
2026年3月期は1,790億円(16.1%増)を見込む。
「3番手」と言われた松屋は、独自のポジションで着実に成長を加速させている。


💡

教訓:副業に活かせる「松屋の本質」

松屋の本質は、“同じ土俵で戦わず、ポジションをずらして独自の市場を作る”こと。

「ポジションの再定義」── 競合と違うカテゴリで戦う

松屋は「牛丼チェーン」ではなく「定食屋」として市場を獲った。

あなたの副業でも、

  • 競合がひしめくカテゴリではなく、少しずらしたカテゴリで自分を定義する
  • 「Webデザイナー」→「売上を上げるWebデザイナー」──肩書き1つで競合が消える
  • 「何をやるか」だけでなく「何屋を名乗るか」がポジショニングの本質

「ずらす勇気」が、レッドオーシャンをブルーオーシャンに変える。

「意外性の武器」── 「○○なのに」が口コミを生む

松屋は牛丼チェーンなのにカレーでバズった。「意外性」が話題の起点。

あなたの副業でも、

  • メインスキルの「隣」に、意外性のある強みを持つ
  • 「税理士なのにSNSに詳しい」「エンジニアなのに文章がうまい」
  • 「○○なのに」が、口コミとSNS拡散の最強トリガーになる

「意外な組み合わせ」が、あなただけの唯一無二のポジションを作る。

「多業態=複数の売り方」── 1つのスキルで複数サービスを作る

松屋は牛めしから、とんかつ、カレー専門店、寿司まで派生させた。

あなたの副業でも、

  • 1つのスキルから複数のサービスラインを設計する(個別、グループ、教材販売等)
  • 価格帯を分ける(お試し500円、標準5万円、プレミアム20万円)
  • 1つの「核」から複数の「売り方」を作ることで、収益が安定する

「1つのスキル、複数の売り方」が、副業の収益構造を劇的に強くする。


📋 今日からできる松屋式 副業改善

自分の「肩書き」を1つずらしてみる

今の肩書きに「○○特化」や「○○もできる」を加えてみましょう。「Webデザイナー」→「飲食店特化Webデザイナー」。たったこれだけで、検索されやすくなり、競合と差がつきます。

「意外性のある強み」を1つSNSで発信する

あなたの仕事と一見関係ない強みやスキルを、SNSで1つ発信してみましょう。「経理だけど写真がプロ級」「プログラマーだけど料理動画がバズる」──その意外性が、あなたを記憶に残す人にします。

メインサービスの「派生版」を1つ設計する

今のメインサービスを、別の形で提供できないか考えましょう。個別コンサル→グループ講座、1回完結→月額サブスク、対面→動画教材。1つのスキルから2つ目の売り方を作るだけで、収益の柱が増えます。


🔗 まとめ:松屋が築いたのは「ポジションをずらして独自市場を作る仕組み」

牛丼チェーン3番手ながら、
「定食屋」ポジションで吉野家・すき家との差別化に成功し、
「カレー」の意外性でSNSバズを量産し、
「多業態展開」で収益構造を安定させた。

「同じ土俵で戦わない」ことで、独自の成長を実現した。

松屋の本質は、
“ポジションをずらし、意外性を武器にし、複数の売り方を持つ”こと。

副業においても同じ。
競合と違うカテゴリで自分を定義し、意外な強みで記憶に残り、複数の売り方で収益を安定させる人が、
長く、強く、選ばれ続けます。


🔔 次回予告

次回は「すき家」。

牛丼チェーン店舗数No.1。ゼンショーグループの主力ブランドとして、
なぜすき家は「牛丼のファミレス」というポジションで圧倒的な規模を築けたのか?を解説します。

「メニューの幅広さ」で家族全員の来店動機を作る戦略、「深夜ワンオペ問題」からの再生、「世界のすき家」へ向けた海外展開──あなたの副業にも使える「規模を武器に変える本質」を学びます。

📘 Lesson 58:すき家 を読む👇

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Fukugyo-Sensei

20歳で起業。英語を武器に通訳・翻訳で独立し、上海・香港・東京を渡り歩く。会員制バー10年経営、大企業コンサル複数社。48種の副業を構造から分析して気づいたこと──本質がわかれば、方法は選べる。副業を「運任せにしない人」へ届けるメディアです。

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