副業先生

【ビジネス事例シリーズ Lesson 59】「丸亀製麺」── 非効率を武器に急成長したうどんチェーン

BUSINESS CASE SERIES ─ LESSON 59

丸亀製麺──
全店で粉から作る。
「手間をかけること」が最強の差別化になった

効率化の時代に、あえて非効率を選ぶ。「食の感動体験」で840店舗を築いたうどんチェーン

🔗 丸亀製麺公式サイト(https://www.marugame-seimen.com/)
📌 前回のおさらい

前回のLesson 58では、すき家から「規模を仕組みで支え、危機を成長に変え、攻め続ける本質」を学びました。

M&Aで40近いブランドを束ね、ワンオペ問題を仕組みで乗り越え、11年ぶりの値下げで攻めに転じた。

「収益の柱を複数持ち、失敗を仕組みに変える」ことが、外食初の売上1兆円を支えていることを知りました。


🍜

焼き鳥屋が始めた「うどん革命」

丸亀製麺の始まりは、意外にも焼き鳥居酒屋だった。
1990年、兵庫県加古川市で粟田貴也が焼き鳥居酒屋「とりどーる」を創業。
その後、2000年11月に讃岐うどん専門店「丸亀製麺」1号店を加古川にオープンした。

粟田が讃岐うどんに衝撃を受けたのは、香川県を訪れたときだった。
地元の製麺所で、おばちゃんが粉から麺を打ち、茹でたてを出す──
その「できたての感動」を、チェーン店で再現できないか?
この問いが、丸亀製麺の全てを決めた。

2025年、創業25周年。
国内約840店舗、グループ全体で約2,000店舗超
トリドールHDの連結売上は2,682億円(過去最高)
うどんチェーンとして、圧倒的なNo.1の地位を築いている。

「うどんは、工場で作って店に運ぶ方が効率がいい」
──業界の常識をあえて否定した。
「全店で、粉から、手作りで」。
その非常識な決断が、丸亀製麺の全てを支えている。


⚙️

問題:「手作り」と「チェーン展開」は両立できるのか?

丸亀製麺が挑んだのは、外食業界の最大の矛盾だった。

  • チェーン店の常識は「セントラルキッチンで一括製造→各店舗に配送」。効率が最優先
  • 全店で粉から製麺すると、人件費・教育コスト・品質管理コストが跳ね上がる
  • うどんの品質は「職人の技術」に依存する。800店舗で品質を均一に保つのは至難の業
  • 「手作り」の感動は一度体験すると当たり前になり、差別化効果が薄れるリスク

効率を追求すれば「手作り」は捨てるべきだ。
しかし「手作り」を捨てれば、丸亀製麺である理由がなくなる。
──この矛盾を、仕組みで乗り越えることが最大の課題だった。


👨‍🍳

対策①:「麺職人制度」── 全店に”うどんのプロ”を配置する

丸亀製麺が「手作り」と「チェーン展開」を両立させた鍵が、「麺職人」制度

🔴 一般的なチェーン

セントラルキッチンで一括製造

店舗はレンジで温めるだけ

誰でもすぐにできる=均質だが感動がない

効率は高いが「特別感」がゼロ

VS
🟢 丸亀製麺

全店で粉から製麺・茹でたてを提供

「麺職人」が各店舗に常駐

独自の人材育成で技術を標準化

「目の前で打つライブ感」が感動を生む

麺職人とは、丸亀製麺独自の人材育成システムで育てた「うどんの専門人材」
粉の状態を見極め、気温・湿度に合わせて水分量を調整し、理想的な麺を打つ──
その技術を全840店舗に配置することで、「手作り」のクオリティを全国で再現した。

副業でも同じ。

「手間をかけていること」を見える化しよう。作業工程をお客様に見せる、制作過程をSNSで発信する、ヒアリングに時間をかける──その「手間」が、価格ではなく「価値」で選ばれる理由になる。


対策②:「感動体験のデザイン」── 食事を”ライブ”にする

丸亀製麺のマーケティングは、「食の感動体験」を軸に設計されている。
単なる「うどんを食べる」ではなく、「うどんができる過程を体験する」ことが価値。

🎬
ライブ感

目の前で麺を打ち、茹で、天ぷらを揚げる。「できたて」を五感で体験できる

🆓
無料トッピング

ネギ・天かす・わかめ・しび辛ラー油など。「自分だけの一杯」を作る楽しさ

🍩
丸亀うどーなつ

うどん生地で作るドーナツ。若い女性の新規客を獲得するヒット商品

さらに、季節ごとのフェア商品が来店動機を途切れさせない。
冬の「鴨ねぎうどん」(累計157万食)、春の「山盛りあさりうどん」(10年連続)、夏の「冷たーい旨塩うどん」シリーズ(約425万食)──
「今しか食べられない」という季節限定の感動が、年間を通じた来店動機を生む。

副業でも同じ。

サービスの「過程」を見せることで、お客様の体験価値が上がる。制作過程のタイムラプス、ヒアリング→分析→提案の流れをスライドで共有──「プロセスの透明化」が、信頼と感動を同時に生む。


🌏

対策③:「世界4,900店舗」── うどんを世界の食文化に

トリドールHDは、2028年3月期に売上4,200億円・店舗数4,900という壮大な目標を掲げている。
その成長ドライバーの一つが海外事業。現在のグループ約860店舗の海外展開をさらに加速させる。

海外では「Marugame Udon」として展開し、アメリカ、台湾、東南アジアで人気を獲得。
さらに、香港のミクスタヌードルチェーン「TamJai」、英国のピザチェーンなど、うどん以外のブランドも海外で展開している。

国内でも丸亀製麺に加え、ずんどう屋(豚骨ラーメン、100店超)、コナズ珈琲(ハワイアンカフェ)、晩杯屋(立ち飲み)など多業態を急拡大中。
「うどん」を起点にしながら、「食の感動体験」を様々な業態で世界に広げるのがトリドールの戦略。

副業でも同じ。

「核となるスキル」を持っていれば、展開先は無限に広がる。デザインスキル → Webデザイン・名刺デザイン・SNS運用・動画サムネイル。1つの「核」から複数の「場」に展開する発想が、成長を加速させる。


解決:「手作り」がグループ売上2,682億円を生んだ

2,682億円
トリドールHD連結売上(過去最高)
約840店
丸亀製麺 国内店舗数
利益率16%
丸亀製麺セグメント事業利益率

全店で粉から製麺する「手作り」を「麺職人制度」で仕組み化し、「食の感動体験」を来店動機に変え、海外を含む多業態展開で成長を加速させた。

2025年3月期のトリドールHD連結売上は2,682億円(前年比15.6%増)で過去最高を更新。
丸亀製麺セグメントの事業利益率は16%と高収益体質を維持。
「手間をかけること」が最強の差別化になることを、丸亀製麺は25年かけて証明した。


💡

教訓:副業に活かせる「丸亀製麺の本質」

丸亀製麺の本質は、“手間をかけることを仕組み化し、感動体験として届ける”こと。

「手間を武器にする」── 効率化できない部分に価値がある

丸亀製麺は全店で粉から製麺する「非効率」を、最大の差別化に変えた。

あなたの副業でも、

  • 「他の人がやらない手間」をあえてかける。それが選ばれる理由になる
  • 丁寧なヒアリング、手書きのお礼状、カスタムメイドの提案書──「手間」は伝わる
  • 効率化すべき部分と、あえて手間をかけるべき部分を明確に分ける

「手間をかけている」ことが伝わったとき、それは”価格”ではなく”価値”で選ばれる。

「プロセスを見せる」── 過程の透明化が信頼と感動を生む

丸亀製麺は「目の前で打つ」ライブ感を最大の体験価値にした。

あなたの副業でも、

  • 制作過程をSNSで発信する。ビフォー・アフターだけでなく「途中経過」を見せる
  • 提案書に「どうやって調べたか」「なぜこの結論に至ったか」のプロセスを入れる
  • 「結果」だけでなく「過程」を共有することで、お客様の信頼度が格段に上がる

「過程を見せる」ことが、あなたの仕事の価値を何倍にも増幅させる。

「季節感で来店動機を作る」── 「今だけ」が行動を生む

丸亀製麺は季節限定メニューで年間を通じた来店動機を途切れさせない。

あなたの副業でも、

  • 季節ごとのキャンペーンや限定メニューを設計する(春の○○講座、年末の○○パック)
  • 「今だけ」「期間限定」「先着○名」──緊急性が、お客様の行動を後押しする
  • 年間カレンダーで「いつ何を売るか」を計画し、来店・問合せの波を自分で作る

「今しかない」が、お客様の”いつか”を”今日”に変える。


📋 今日からできる丸亀製麺式 副業改善

「手間をかけている工程」を1つ、お客様に見せる

あなたの仕事で「ここは手を抜いていない」というポイントを1つ選び、お客様に見える形で伝えましょう。SNSでの制作過程の投稿、提案書へのリサーチ過程の記載。「見えない手間」を「見える価値」に変えるだけで、選ばれる理由が増えます。

「今月限定」のオファーを1つ作る

今月中に申し込むと特典が付く、先着5名限定の割引──1つでいいので「期間限定」のオファーを作りましょう。「いつでも頼める」は「今は頼まなくていい」と同じ。緊急性が、お客様の行動を生みます。

年間の「売り方カレンダー」を1枚作る

4月は新生活応援、7月は夏のスキルアップ、12月は年末の棚卸し──月ごとに「何を打ち出すか」をA4用紙1枚に書き出しましょう。来店・問合せの波を「待つ」のではなく「自分で作る」ことが、安定した売上の第一歩です。


🔗 まとめ:丸亀製麺が築いたのは「手間を仕組み化し、感動体験として届ける仕組み」

焼き鳥屋から始まり、
「全店で粉から製麺」という非常識を「麺職人制度」で仕組み化し、
「食の感動体験」をブランドの核に据え、
海外を含む多業態展開で2,682億円企業に成長した。

「効率化の時代に、あえて手間をかける」──その逆張りが、丸亀製麺だけの唯一無二のポジションを作った。

丸亀製麺の本質は、
“手間をかけることを仕組み化し、感動体験として届ける”こと。

副業においても同じ。
手間を武器にし、プロセスを見せ、季節感で来店動機を作る人が、
長く、強く、選ばれ続けます。


🔔 次回予告

次回は「大戸屋」。

「ちゃんとした定食」を外食で。家庭料理の温かさとチェーンの利便性を両立させた大戸屋は、
なぜ「手作り」にこだわり続け、女性一人客に選ばれる外食チェーンになれたのか?を解説します。

「店内調理」へのこだわり、コロワイドによるTOBからの再生、「おふくろの味」のブランド戦略──あなたの副業にも使える「”丁寧さ”をポジションにする本質」を学びます。

📘 Lesson 60:大戸屋 を読む👇

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副業先生

Fukugyo-Sensei

20歳で起業。英語を武器に通訳・翻訳で独立し、上海・香港・東京を渡り歩く。会員制バー10年経営、大企業コンサル複数社。48種の副業を構造から分析して気づいたこと──本質がわかれば、方法は選べる。副業を「運任せにしない人」へ届けるメディアです。

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